完璧すぎる、彼??

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暫くして着替え終わった彼は、鏡の前でペチコートの位置を微調整していた。 もう、既に仕草がいつもと違う。 すっかり「女の子モード」だ。 「終わったらコッチ来て。ウィッグ着けるから」 「あ、もうOK。 お願いしまーす」 鏡台の椅子に掛ける彼の後ろに立ち、ゆるふわウェーブのウィッグを装着する。 明るい栗色が、顔立ちを華やかにする。 メイクも済ませると、鏡の前にはついさっきまでは完全に「男」だったたあちゃんが、しっかりと「オンナノコ」になっていた。 「王子が姫になっちゃった」 普段のクール系王子がまるで嘘の様にアンティークドールさながらのお姫様。 「…ってゆーか、信(あきら)ちゃんにソックリ」 ぷ、と彼が小さく噴き出す。 信ちゃんは、たあちゃんの妹。 彼は5人兄妹の総領、4人目までは男ばかりで末っ子の信ちゃんだけが女の子。 小学校に上がったばかりの彼女が大きくなったら多分こんな感じかも。
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