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隣の家からまた煩い程の笑い声と光が部屋のカーテンの隙間から流れ込んだ
「…良いね、幸せそうだ…」
ベッドの上、窓の枠にビールを置いては肘をついて隣の家を覗き込む…
こんな時、羨ましいと素直に思える自分はまだ腐りきっていないんだと何だかむず痒いが誇らしく思え、けれど静かな今を受け入れると数倍虚しくなった。
「…バカらしい…」
そう投げ捨て、捻くれた自分自信にも虚しさを感じた。
両親は殆ど会っていない。
年に一度か、二度…
何でもない日に現れ、これでもかって言う贅沢をさせてくれる。
子供を放ったらかしにしている罪の意識にでも駆られているのか、子供が何をしようとも咎めもしない。
いや…興味が無いのか…。
テーブルの上には堂々と灰皿が置かれ、その隣には華奢なシルバーのライターがある
まだ、高校2年の彼には似つかわしく無い部屋の雰囲気や、物たちに誰も違和感なんて抱きはしない…
タバコを着けては燻らせてみて、空に吐き出し…
消える様を眺めては不思議にも笑いがこみ上げる。
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