今日だけ。

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堕ちた途端、断りの台詞を考える… けれど、これといった言葉は出てはこない。 そして一瞬、遠くに目をやり、また2人を見下ろす… きゃぁ!と、何かに着けては騒ぎ出す2人を見ながら鬱陶しさが渦を巻く、そんな素振りを見せないようにしながら切り抜ける術を考える。 「カラオケとか?」 「えー、カフェとかにしない?万智くんが一緒なんだし」 万智の意見など興味がないように2人は明らかに盛り上がりを見せる 何処だっていい。 何だっていい。 けれど、万智を飾り程度にしか見ていない2人の態度には耐えられそうにも無かった… 「お待たせ。」 「え?」 背後から声を掛けられ腕を取られた万智が一歩下がれば、 ふわりと甘い匂いがした… 「ごめんね、待ったかな…」 腕を掴んだ手がグイッと体を引き寄せ、隣に並んだ男を見上げる。 「あ、怒ってる?」 深めに被った帽子の影に隠れた目が合図する… 「あ、いや…別に…」 見知らぬ男に捕まえられた万智。 けれど、今の状況から言えば救いではあった。 「じゃぁ、またね」 驚いたのは万智だけでは無い。 向かいに佇んだ2人に素早く別れを告げ、腕を離したと思えば向きを変えて肩を掴んで歩き始めた…
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