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繁華街へと向かう道では、まだ8時にもなっていないのにもかかわらず、数人のサラリーマンが赤い顔をして肩を組みながら盛り上がっている。
そんな塊を無視しながら 辺りを見渡しコンビニに入り
雑誌の前で目を落とした。
別に興味があるわけでも無いのに そこにあったヘアカタログを手に取りページを捲った…
隣に人気を感じて一歩体をずらしてまた次を捲る。
早く時間が過ぎれば良いのに…
そんな風に考えながら ただ過ごす。
「ねぇ…予定ないの?」
「…え」
その声は今しがた隣に現れた人物…
「…あ、さっきの…」
同じように雑誌を手にして万智を見下ろすのは、つい今しがた別れたばかりの男だった。
「つけたんじゃないよ…?」
そう言っては片手に持ったビニールの袋を上げて見せた。
「はは…偶然ですね」
そんな事はどっちでも良かった。
「何か断れなさそうだったから助けたつもりだったんだけど、予定が無かったなら要らぬお世話だったのかな?ってね…」
そう言い、少しだけバツが悪そうに口元に手をやった。
見た所、20代前半の男は誰にでも声を掛けそうな風体でも無い
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