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彼女は一心の愛を、僕は千慮の恋を、夢見て明日へ眠る。
それでも、彼女の見る妄想を共有する喜びが、僕の生きる支えだった。
にもかかわらず、僕には憂慮することがあった。質素な生活を続ける彼女が、日に日に痩せ細っていくことだ。
無理もない。一体いくらの金を貯めるつもりなのだろうか?
ロケットが1億以上、有人ロケットだと40億以上、数分の宇宙旅行でさえ2500万円以上だ。
そんな数字は彼女の念頭にはなく、愛を紡いで星を繋ぐ虹の橋を架けるつもりなのだ。
彼女こそこの星で一番倖せな人だと、僕は思った。
その頃から、ある噂がネットで囁かれていた。
反地球が見える──
第十惑星が見える──
いや、それは地球に隣接する異世界だ──
そんな愚にもつかない噂である。
反地球とは、太陽を挟んで反対側に存在するという、もう一つの地球である。そんなことは惑星の摂動であり得ない。
そんな噂のなかで、僕の目を引いたものが一つあった。
それは地球から離れた死後の世界、天国が星となって見えるのだ──
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