あの☆に虹の橋を架けて

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 そしてある日、いつもの帰り道。  彼女の窓辺にいつもの姿はなく、代わりに青く輝く彼女と男が宙に浮いていた。 「彼がこの地球に架ける橋を造ったのよ」  男に寄り添う花嫁衣装の彼女が、嬉しそうに笑った。それは今まで見たなかで、一番美しく倖せそうな笑顔だった。  そうして、空に架かる虹のウェディングロードを渡って、彼女は男と共に消えていった。  僕は窓辺のある部屋に行くと、そこに美しい彼女はいなかった。  それでも僕は悲しくない。消える間際の彼女の笑顔が美しかったからだ。その美しい笑顔を、もう一度見たいと願った。  そして僕にも、空に浮かぶ青く輝く地球が見えるようになった。
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