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として、私の背中は何度も土にキスをした。
回ろうとしない身体が重力に従って落ちてゆく。
次第に疲労と背中の痛さが重なりあって呼吸がし辛くなる。
それでも、彼女は観ているだけだった。
「何時まで続ける気なの?」
背後で彼女はふと呟いた。
何気ないその言葉に答える力は、木枯らしを強く吹かした。
振り向かず、私は鉄棒を握り締めた。
駆け上がる脚の力を殺さず、空中へと放り上げる。
天地逆転。
身体を鉄棒に預ける。
一回転。着地。
「完璧だ」
私は、砂塗れになった紺色のダッフルコートを軽く叩く。
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