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私、桜花澪は家から近くの私立高校に通う高校二年生。通う学校はどうにも肌に合わず一年とちょっと経った今でも周りとは馴染めずにいた…
それでもいい… 将来は嫌でも家業を継いでしまうのだから。
これから最も長く忙しい日々を味わうのだから今くらいは…
だから私は男子たちが大声でモノマネしているネタも、女子たちが集っていくトイレの時間も交わらずにいた。
学業も運動も程ほどを意識して…静かに、波風立たず、ただ平和に高校生活は過ごしていければいいと思っていた。
けど、今日だけは違った。
こんなに時間が来てほしくないと思ったのはイツ以来だろう?
心臓が高鳴る、熱いのか汗が出てくる、その汗が伝うと反面身体が急に冷める、クラス中の声が脳内を木霊する、木霊した声によって耳鳴りが高まって眩暈が起こって貧血のような感覚が…
「はーい、席に着けー」
「っ!」
朝の定時のチャイムが鳴ると同時に担任が入ってきた。
「うわっ! めっちゃかわいい…」
「なになに、転校生?」
いつものホームルームと違う声が飛び交うのも予想は付いている。
「え~ 今日からクラスメイトが加わるからな、仲良くするように。それじゃ、自己紹介して」
そう言った担任の横にいる転入生の女子…は黒板に名前を書いて笑顔で口を開く。
「坂木 圭です。今日からよろしくお願いいたします」
その声、その仕草、その笑顔は誰が聞き見ても見惚れてしまうだろう。
案の定、教室中の男子と数人の女子が発狂した。
けど、私は知っている! 坂木圭、彼女は…!!
『おっさんだ!!!』
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