第5章  胸に抱えるもの(続き)

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それでも、忍に何があったかまでは分かってはいないはず。 しかし、昔から動物的に勘の鋭い彼の事だ。 忍の小さな変化から、彼のショックは、少なからず嗅ぎ取っていただろう。 そして忍は、そんな彼の気遣いを素直に感謝した。 振り返れば、彼らと知り合ってから 自分の素性以外は、ほとんど隠し事をしたことがなかった。 いや、実際には、彼らに隠し事が通用しないというのが事実かもしれない。 だが忍は、出来れば彼女の事は隠したかった。
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