第5章  胸に抱えるもの(続き)

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ハッと目を見開いた忍の拳が、次の瞬間、更に固く握られた。 そして、 「くそ……」 自分への苛立ちと後悔が再び頭をもたげ、彼の胸を締め付ける。 忍は、固く目を閉じた。 彼女がいるのは、自分の腕の中ではない――。 そして、苛立ちや後悔を掻き消す程のやるせなさに、 息を吐き出す忍の唇が苦しげに小さく震えた。
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