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「エイオースの打ち合わせ、一日延期可能かどうか聞いてみましょうか?」
だが、近づく台風の懸念を理由にしようとする彼女に
忍は、苦く笑ってかぶりを振った。
「いや、大丈夫だよ。ほら、台風なんか来るから少しだるいだけ。
デザイン画も、車で行くから問題ないから」
事実、仕事の量的には決して楽ではないが、無理をしているほどでもない。
体調だって、多少の寝不足は否めないが、悪いわけではない。
それに、やっぱり朝比奈 忍の名に懸けても、
どんな理由にせよ、仕事のスケジュールを遅らせることは
彼のプライドが許さない。
ただ、忍のすべてを重くしているのは、胸を締め付けるこの気持ちだけ。
そしてそれを、すべて台風という大きな低気圧のせいにした。
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