第6章  埋まらない距離

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そして、 「でもまあ、良かったよ。 だいたいのイメージは固まったから、改めて細かい修正を入れて 今週中には、最終的なものを届けられると思う」 「悪いな、忙しいのに」 ところが、恐縮したように言った立花が突然、「うわっ!」と 大きな声を上げる。 そして、部下の中谷に使っている路線を確かめると、 「あちゃあ……」と、自分の額をピシャリと叩いた。 「ごめん、中谷さん。その線、途中の駅で冠水があるみたいで、 もう止まってる」 「ええっ?!」 「いやぁ、ごめん。もっと早くに気づくべきだった。 ホント、ごめん!」 ところが、平謝りになった傍から「そうだ!」と思いついたように 立花が忍に目を向けた。 「朝比奈、お前、車だって言ってたよな? だったら、悪いついでに彼女を送ってくれないか」
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