第6章  埋まらない距離

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「頂いた宿題の答えが見つからず、立花さんに相談したら、 朝比奈さんの描いている世界を完全に感じ取るのは無理だから って言われまして」 「えっ?」 「あっ、あの、変な意味じゃないですよ。 その、朝比奈さんは、自分たちでは想像できないくらいイメージを広げて、 デザインをしているはずだって。 だから、恐らく自分たちが目にしているものは、 そのイメージの極一部に過ぎない。 それが、朝比奈さんの天才たる意味だと思うからって」 「アイツ、そんな事……」 長い付き合いの中でも、彼から、そんな言葉は聞いたことがない。 それだけに忍は、思いがけない賛辞を耳に、さすがに照れを隠せなかった。
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