第6章  埋まらない距離

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だが、それが却って彼女をリラックスさせたようだ。 「でも、私も……、っていうか、私なんかが言うのもおこがましいですけど、 朝比奈さんって本当にすごい方なんだなって、 アート系ド素人ながら思います。 なんか、イメージカラーの色一つだけでも その力のすごさに感服するくらい」 ははっ……。 忍は、更なる照れを笑い声にするしかない。 案の定、外は街路樹を大きく揺らすほどの風と叩きつける雨の大荒れ模様に、 道は、テールランプが連なっている。 そして、そんな唸る風に呼応するかに、 ちょっと饒舌になっていた彼女が小さく唸った。 「でも、やっぱりコンセプトのイメージ感覚って、 ちゃんと分からないとダメなものですよね……」
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