第6章  埋まらない距離

21/25
前へ
/38ページ
次へ
「我が儘だって、時にはエッセンス。 恋の艶ってさ、様々なエッセンスが絡み合って感情を煽るから現れるもので、 それが大人の恋なんじゃないかな。 そして、そんなのが、今回のイメージの根幹にあるものだよ」 そうか……。 呟いた彼女の目が、何かを閃かせたように輝き 見る見る口角が嬉しげに上がっていく。 「なんか、やっと引っ掛かっていたものがストンと腑に落ちた気がします」 ようやく彼女に戻った笑顔が、嬉しかった。 だから、それに釣られるように忍も微笑んでいた。 「それは良かった」 頷き返した忍の視界の端で、信号が、青にパッと変わった。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加