第5章  胸に抱えるもの(続き)

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なにしろ、この星に来て以来、惚れられたことは数多あれど、 自から誰かに惚れたことは一度たりともない。 それは、愛しい恋人を探し求めてやって来た忍にとっては 当然ながら、謙悟たちにしても彼を「女嫌い」とからかうほど 承知していること。 そして事実、言い寄ってくる女性たちをけん制する意味でも 忍は、女嫌いを装い続けてもいた。 それだけに今度も、せめて彼女の気持ちを振り向かせられるまでは、 彼らの前でも、いつものクールな自分でありたい。 しかし――。 間が悪すぎる。 取り敢えず買ってきたコーヒーを下げ、ぶらぶらと歩きながら 胸の内でつぶやく。
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