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なにしろ、この星に来て以来、惚れられたことは数多あれど、
自から誰かに惚れたことは一度たりともない。
それは、愛しい恋人を探し求めてやって来た忍にとっては
当然ながら、謙悟たちにしても彼を「女嫌い」とからかうほど
承知していること。
そして事実、言い寄ってくる女性たちをけん制する意味でも
忍は、女嫌いを装い続けてもいた。
それだけに今度も、せめて彼女の気持ちを振り向かせられるまでは、
彼らの前でも、いつものクールな自分でありたい。
しかし――。
間が悪すぎる。
取り敢えず買ってきたコーヒーを下げ、ぶらぶらと歩きながら
胸の内でつぶやく。
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