忘年会篇  第1章 二十歳の冬

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二十歳になった夏、プロポーズされた。 あいつはまだ学生で、俺は社会人二年目の安月給。だから、正直驚いた。 高校卒業とほぼ同時にふたりで部屋借りて同棲始めて。 でも、まだ、全然、そんなプロポーズされるなんて思ってもいなくて 俺は普通に会社でもらった西瓜片手に「おーい」ってあいつを呼んで あいつは帰ってきた俺に微笑んで そして。 俺はあの日のあいつと、あいつの言葉、すげぇこと言ってるはずなのに、どこか飄々として楽しそうなあいつの声を一生忘れないって思った。 それが、俺の二十歳の夏の思い出だ。
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