第1章

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 病院に入った時から、除々にピリピリとした殺気を纏いだした彼。  やがて、診察室に呼ばれると医師や看護師の行動を睨みつけるように、監視し始める。  さっきから、彼のすることに見て見ぬふりをしていた僕だったが。 診察のため、僕にかぶるように立っていた彼を、看護婦がどかせようとした時は、肝を冷やした。(知らない土地でも、誰かが自分の前に立つことは許せないらしい) やや看護師の手がその身に触れそうになり、慌てて飛びのく。眼光、鋭いままで。同時に腰に手をやり、一瞬、口惜しい気な顔を覗かせた。  この時僕は、人知れず胸を撫で下ろしていた。 本当に腰のわきざしを家に置いてきて良かったと。 “武士の魂”である刀を置いていくことなど出来ないと、かなり一悶着したが。危うく、刃傷沙汰になってしまうところだった。(そのまえに銃刀法違反で捕まってしまうが…)  『でも…疲れた…』 こんなに異世界人を連れ歩くことが大変だとは…思わなかった。ここまでで、精も根も尽き果て、疲れ切っていた僕。  そんな僕に“天からのご褒美なのか?”この後思いもしない光景を目にすることとなる。
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