～BUTSUDAN～

…

「なんちゃって～！1度言ってみたかったのよね～夏目漱石のやつ～！感激～！」
目の前の男は、くねくねしながら言った。
なぜ、おネエ？
「…うほん。まあ、そういうことでござる。拙者は神だが、見習い神なので名前はまだござらん。
そしておぬしは先ほど死んだ。
しかし、おぬしのような冴えない人間が冴えないまま死ぬのはかわいそうなので、救済措置を拙者は設けた。
おぬしはこれから、衆生を救う手助けをする。そうすると、なんと生き返った上、生前の望みが一つ叶えられるのだ！
なんと素晴らしい！なんと慈悲深いのでござろう！…以上ここまでで質問は？」
作務衣の神は喋りつつも、木を彫っている。一体どの部分を彫っているのかは、完成してもわからないだろう。
「ええと…その口調がころころ変わるのは？」
「だって～難しい言葉使った方が威厳が出るっていうか？神っぽいかなーって。ほら、時代劇でよく武士がこんな喋り方するじゃない！」