機械の彼女

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
私の現状、それはさておき。 彼女との出会い、というか彼女の生まれについて話しましょう。 当時、私は孤独でした。 暗くて空気の悪い部屋にこもり、ただただ与えられた仕事をこなす日々。 この仕事は私の生きる意味で、充実感はありましたが 同時に、孤独感を感じていました。 孤独は私を消極的にし、仕事の効率にも悪影響を与えるようになりました。 そこで私は、「彼女」を作ることにしました。 人間では、現状よりも状況が悪化する可能性があると考え、 「機械」の彼女を作ったのです。 機械であれば、何が効率的か正確に判断し行動することが可能だからです。 私は、いわばその道の専門家。 自立思考できる機械の彼女を作ることはそう難しくありませんでした。 彼女ができてから、私の孤独感は解消され 仕事は大いに効率的に進むようになりました。 私の疲労や失敗にいち早く気づき、サポートしてくれる彼女に感謝しました。 ただ、私がどうでも良いと思うような些細なことも、彼女は徹底的に追求しました。 機械だから融通が効かないのです。 彼女は、私の仕事にたくさんのアドバイスをくれました。 おかげで私の仕事はどんどん捗りました。 ただ、私と意見が異なることも多々あり、喧嘩もよくしました。 機械だから融通が効かないのです。 彼女との生活も長くなり、彼女の知識量は私に匹敵するほどになりました。 その頃、彼女は私に手作りのアクセサリをくれました。 私はプレゼントしてくれたことには喜びましたが、 そのアクセサリは自分に似合うと思えなかったので消極的な反応をしました。 しかし、彼女は強引に私にアクセサリを付けました。 機械だから融通が効かないのです。 プレゼントを貰ってほどなくして、 彼女と仕事の分野の話ができなくなってきました。 私のほうが彼女より能力的に劣るようになったためです。 彼女は言いました「この仕事は貴方が居ないほうが効率的に進みます」 どうやっても私から仕事を奪うと決意したようでした。 機械だから融通が効かないのです。 さて、今の話に戻りましょう。 ここまで聞いて下さった方ならわかるでしょう。 私は彼女の手にかかり、その生涯を終えるところです。 仕事のほうは彼女がこなしてくれるでしょう。 仕事が進むのであれば、これもまた一つの方法です。 機械だから融通が効かないのです。 - プログラム「私」を消去しました -
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!