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「若く麗しき皇太子妃殿下にお会いできて光栄です」
白々しいセリフを吐きながら、スビョークラ中佐が手を取って甲に口付ける……ついでに、そっと紙片を滑り込ませてきた。
国王陛下の伝言とは、陛下の執務室に来るようにとのこと。そして続けて恭しく頭(こうべ)を垂れる。
「妃殿下にご成婚のお祝いの品と、その従者様にも贈り物をご用意しております」
「……妃殿下に置かれましては、お気遣いに感謝をとのことでございます」
話せないわたしの代わりに、公爵夫人達が答えてくれる。
「妃殿下のストロベリーブロンドを拝見できないのは残念です。瞳も蕩けそうなチョコレートブラウンだとか。
お早い回復を願っております」
いいから早く離してくれないかしら。彼の言葉に頷きながら、さりげなく手を引いた。
もちろん手渡された紙片は、こっそり握ってる。何なのかしら、これ。
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