うごめく陰謀③

2/17
1225人が本棚に入れています
本棚に追加
/423ページ
「若く麗しき皇太子妃殿下にお会いできて光栄です」 白々しいセリフを吐きながら、スビョークラ中佐が手を取って甲に口付ける……ついでに、そっと紙片を滑り込ませてきた。 国王陛下の伝言とは、陛下の執務室に来るようにとのこと。そして続けて恭しく頭(こうべ)を垂れる。 「妃殿下にご成婚のお祝いの品と、その従者様にも贈り物をご用意しております」 「……妃殿下に置かれましては、お気遣いに感謝をとのことでございます」 話せないわたしの代わりに、公爵夫人達が答えてくれる。 「妃殿下のストロベリーブロンドを拝見できないのは残念です。瞳も蕩けそうなチョコレートブラウンだとか。 お早い回復を願っております」 いいから早く離してくれないかしら。彼の言葉に頷きながら、さりげなく手を引いた。 もちろん手渡された紙片は、こっそり握ってる。何なのかしら、これ。
/423ページ

最初のコメントを投稿しよう!