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「ベル、マリーベル。僕の野苺、僕の癒し」
キャラメルのように甘い囁きが、夢の中まで響いてくる。
「貴女のそのふっくら可愛いくちびるで、どうか僕を癒してくれないだろうか」
嫌って言っても、聞いては下さらないのでしょう?
「ああ。僕の女神。貴女に拒絶されては、もう僕は生きてなどいれない」
まぁ。随分大げさなのね。
「大げさかい?君に癒してもらえないのなら、午後の執務なんてする気にならないのだけれど」
あら駄目よ。お仕事はちゃんとしなくっちゃ。
「全く君は勤勉だね。僕が過労死しても良いのかい」
ダメッ。それは駄目。わたしをひとりにしないで頂戴。
もう一人ぼっちになるのは嫌なの。誰かを見送るのはもう嫌なの。
「ああ、泣かないで僕の愛しい人」
焦ったような声と共に、温かいぬくもりに包まれる。
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