通学路

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中学への通学路。 毎日毎日、決まった道を通る。 寄り道せずに、いつも通り。 その日、友達と喧嘩した。 いつもはふたりで帰る道を今日はひとり。 ふと思い立って、 最初に右に曲がる角を左に曲がってみた。 同じような家が並ぶ道。 サザンカのある家の角を今度は右。 そのまま右に左に、 気まぐれに曲がってみる。 塀の上の猫にこんにちは。 吠えてきた犬にあっかんべー。 いつもとは全然別の風景にわくわくする。 気が付いたら道は上り坂になっていた。 次第に家は少なくなり、 登り切ると公園に出た。 「うわぁーっ」 眼下にはひしめき合う家々。 その先の海に沈む真っ赤な夕日。 ……明日。 友達も連れてこよう。 あんなに沈んでいた心は一気に軽くなっていた。 ――道に迷って帰るのがすっかり遅くなり、 両親にがっつり怒られたのは内緒だけど。
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