秘密の部屋

2/2
前へ
/2ページ
次へ
私の通ってる大学には変人教授がいる。 バツイチ、子供なし。 顔はまあまあなのだが、 如何せん生きた人間より標本が好きで。 研究室は標本だらけ。 そして教授は何故か 研究室横の資料室にだけは、 誰も入らせない。 誰ひとり、だ。 噂によると世にも珍しい標本があるとか、 違法に手に入れたものがあるとか。 そこで私は教授が学会で留守の今日、 こっそり侵入してみたいと思う。 ちゃっかり入手していた合い鍵で中に入ると、 棚には大小様々な瓶が並んでいた。 並んでいるホルマリン漬けの多くは、 ……奇形の赤ちゃんとか。 どうみても まともなルートで入手したものとは思えなくて ゾッとした。 奥に進むと瓶の中で髪が揺れている。 よく見ると……人間の生首。 しかも見覚えが……。 教授のもと奥さん、だ。 「ああ。みられたんだね……」 鍵のかかる音に背筋を冷たい汗が滑り落ちた。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加