第十三章 月下廊の戦い-月夜の晩の敵って何者?-

5/7
前へ
/22ページ
次へ
闘「おい、見てみろよ、然!」 然は、闘に促され、前方上方を見た。 闘「やけに、きれいに星が出てるな」 然「そうですね」 闘「おい、月も出てきたぞ!」 然が見ると、前方に先ほどまで見えなかった月、しかも満月が出てきていた。 その月に照らされ地面の方が明るくなった。 闘「何だ?一面花畑じゃん?!」 然が見ると、一面に花(正確に言うと蕾が)一面に生えていた。 闘「然、…。お前、この花、何て言う花か分かるか?」 然「えぇ、確か…『月下美人』…満月の日の数時間しか咲かないとか…」 闘「…てことは…。今、満月が出てるから…今日、咲くって事か…?」 然「そうかも知れません…ね」 然は、少し考え込みだした。 闘「どうした、然?…どうかしたのか?」 然「いえ、ちょっとおかしい気がするのです。もし、ハバナさんの言うことが正しいのだとすると、…」 闘「おっ、『月下美人』とやらが咲き始めたぞ!」 然「えっ…」 闘「何か…月の出てる夜空に一面の『月下美人』の花…きれいすぎて、感動するなぁ……」 然「闘、やはりおかしいですよ。ここはハバナさんの話によると、<建物の中>のはずです。星や月が見えるはずがありません!」 闘「そんな事言ったって、現に見えてるじゃないか…」 然「これは敵の術(わざ)か何かなのでは…?」 闘「何だって?」 闘「くっそぅ、体が動かない…」 然は、懐の『木の素』を出してみた。 然「色が変色し始めている。つまり、毒のせいで、闘は動けなくなったというのですか?…しかし、なぜ…敵の気配は全くなかったというのに…」 然「か、風…?」 然は、月下廊に、微かな風が吹いているのを感じた。 然「着いてすぐは二人ともなんともなかった…。なのになぜ今になって闘は…」 然「着いてすぐと今で状態が変わった物といえば…」 何かが、風で揺れる。 然「そうだ。『月下美人』…着いた時は、蕾で、先ほどから咲き始め、その矢先、闘に異変が起こった。つまり…この花の…花粉に毒が仕掛けられていたのか!」 然「そうだ!急いで、この廊下の真ん中辺りにあるという『土の素(ソウル)』を取りに行かなければ…」 然は、急いで『土の素』を手に入れるべく廊下の先に向かって走り出した。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加