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闘「おい、見てみろよ、然!」
然は、闘に促され、前方上方を見た。
闘「やけに、きれいに星が出てるな」
然「そうですね」
闘「おい、月も出てきたぞ!」
然が見ると、前方に先ほどまで見えなかった月、しかも満月が出てきていた。
その月に照らされ地面の方が明るくなった。
闘「何だ?一面花畑じゃん?!」
然が見ると、一面に花(正確に言うと蕾が)一面に生えていた。
闘「然、…。お前、この花、何て言う花か分かるか?」
然「えぇ、確か…『月下美人』…満月の日の数時間しか咲かないとか…」
闘「…てことは…。今、満月が出てるから…今日、咲くって事か…?」
然「そうかも知れません…ね」
然は、少し考え込みだした。
闘「どうした、然?…どうかしたのか?」
然「いえ、ちょっとおかしい気がするのです。もし、ハバナさんの言うことが正しいのだとすると、…」
闘「おっ、『月下美人』とやらが咲き始めたぞ!」
然「えっ…」
闘「何か…月の出てる夜空に一面の『月下美人』の花…きれいすぎて、感動するなぁ……」
然「闘、やはりおかしいですよ。ここはハバナさんの話によると、<建物の中>のはずです。星や月が見えるはずがありません!」
闘「そんな事言ったって、現に見えてるじゃないか…」
然「これは敵の術(わざ)か何かなのでは…?」
闘「何だって?」
闘「くっそぅ、体が動かない…」
然は、懐の『木の素』を出してみた。
然「色が変色し始めている。つまり、毒のせいで、闘は動けなくなったというのですか?…しかし、なぜ…敵の気配は全くなかったというのに…」
然「か、風…?」
然は、月下廊に、微かな風が吹いているのを感じた。
然「着いてすぐは二人ともなんともなかった…。なのになぜ今になって闘は…」
然「着いてすぐと今で状態が変わった物といえば…」
何かが、風で揺れる。
然「そうだ。『月下美人』…着いた時は、蕾で、先ほどから咲き始め、その矢先、闘に異変が起こった。つまり…この花の…花粉に毒が仕掛けられていたのか!」
然「そうだ!急いで、この廊下の真ん中辺りにあるという『土の素(ソウル)』を取りに行かなければ…」
然は、急いで『土の素』を手に入れるべく廊下の先に向かって走り出した。
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