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1キロメートルほど走った所に、観音開きの扉がついた戸棚のような物があった。
然は、その扉を勢いよく開けた。すると、右側の扉から腕輪のような物が落ちそうになった…が、落ちなかった。腕輪の片側には鎖がついており、その戸棚の奥に固定されていた。
然「これでは取り出せないぞ…どうしたものか…」
然は、考え込もうとして、ふと左の扉の方を見た。
そこには<『土の素』の使い方>というマニュアルらしき物が置いてあった。
然は、すぐさま、それを読んだ。
然「えーと、なになに…。この『土の素(ソウル)』を使いたい術者は、これを腕に嵌(は)めると良い。但し、一度嵌めると太陽の間にある鍵を使用しない限り、外すことは出来ない…ですって…?」
然「それでは、私がこの『土の素』を腕に嵌めて、ここから取り出す事が出来たとしても、闘に付け替える事は出来ないという事ですか…困りましたね…」
然「まだ何か書いてありますかね…マニュアルの終わりに注意書きが書いてありますね。なになに…」
然「この『土の素』は、基本的にどの属性の術者も使えるが、『木の素』と『火の素』は、木の属性か火の属性の術者、『金の素』と『水の素』は、金の属性か水の属性の術者しか使用することが出来ない…ですと…?」
然は、ため息を一つついて言った。
然「…という事は…私がこの『土の素』を使い、代わりに闘に『木の素』を使ってもらう事で、二人とも毒の影響なしに、この『月下廊』を突破しようとした、私のアイデアは使えないという事ですか…」
然「仕方がありません。こうなったら、意地でも、闘をここへ連れてきて、この『土の素』を腕に嵌めてもらうしかありません…」
然「時間がありませんね…」
然が、ふと見た『木の素』はすでに四分の一ほど変色していた。
然「闘、今助けに行きます。待っていてください!」
然は、闘の倒れている場所に向かって走り出した。
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