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足が鉛のように重い。
無理して履いてたヒールを玄関先で脱ぎ捨てると、立て掛けられたままのビニール傘が目に入った。
荒く閉じられたそれは、あの雨の日からずっと、ここにある。
初めてキスされた時、
彼の温かさを知った時、
あの時から分かってたんだ。
ブレーキなんて、とっくに壊れていた。
携帯電話を取り出し、話すべき相手を表示する。
何も悪くない。
誰も悪くない。
両想いごっこだって、わたしのためにしてくれたこと。
期間限定だけど、楽しかったじゃない。
言い聞かせて、立ったままメッセージを送信した。
傘を、目立つ所に置き直す。
ヒールを揃えて置いて、振り返らずに部屋へと上がった。
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