第2章

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私は、思いもよらなかった言葉に、言葉を失う。 立野さんが…あたしを? ウソ… 反応出来ずにいてる私に、立野さんは言葉を続ける。 「…佐々木から、全部聞いた。…キスの事も。 ただ、あれは違う。キス、したんじゃなくて、されたんだ…告白、されてな。だから、好きなヤツがいるからって…断ったんだ。 …でも、油断してた。悪い… まさか、見てたとは思わなくてな… すべての疑問が、今やっと分かったよ。 ごめんな?辛い思いさせてしまって…」 涙が止まらない… 私、誤解…してた… 首を大きく振るだけが精一杯の私は、再び、立野さんの腕の中に、引き寄せられる。 初めて感じる立野さんのぬくもり… 落ち着く… 心地のいいぬくもり… 夢を…見てるみたい… どれくらい経ったのか… 再び立野さんの腕がほどかれ… 涙でぐちゃぐちゃになった顔を見られるのが恥ずかしくて、下を向いていると、 立野さんが親指で優しく涙を拭う。 そっと顔を上げて、立野さんを見ると、今まで見たこともない優しい笑顔… そっと… 顔が近づく… 唇が触れ合う、ギリギリの所で、目を閉じる。 その瞬間… 立野さんと、初めてのキス… 触れ合うだけの、とても優しいキス… 言葉だけじゃなく、キスからも、立野さんの気持ちが伝わってくる…
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