☆ヒーローは遅れてやって来る☆

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ー直人視線ー ヤベェ。身体が鉛のように重い。 流石にデカイダメージを受け過ぎた。 クソッ……まだか。蒼真! これ以上はオレの身体が持たないんだけど。 もう身体の自由も利かねぇし視界もボヤけてきた。 和「惨めだね…こんなにボロボロになるなんてさ……そこまでして守りたいんだ。燐音くんを」 直「……あぁ…」 和「まぁいいや。バイバイ。孤独な魔王よ…」 大神の右手には、大きめのナイフが握られていた。 オレも含めて誰もがもうダメだと思っただろうな。 直「……打つ手なし…か」 和「死ねぇっ!!」 オレは目を閉じた。もうダメだ。 もうじき訪れるであろう〝死〟を覚悟した。 兄さん、母さん…ごめん。 まだ若いけど、オレもそっちに逝くわ。 …親父。オレはアンタを許しはしない。 けど…最初から最後まで親不孝な息子でごめん。 それだけは、本人に直接伝えたかったな。 今までの思い出が脳裏を横切った。 あぁ。これがいわゆる走馬灯ってヤツかな。 …あれ?…いつまで経っても痛みはない? 直「………?」 不思議に思ったオレは目を開けた。 和「…なにっ…?」 直「ーーっ!!?」 オレと大神の間には蒼真が立っていたのだ。 蒼「わりぃ…遅くなったわ。直人」 ……来てくれた…。 ちゃんと…戻ってきてくれた。 和「…ここで…お前が来るのか…」 大神はオレ等から離れた。 蒼「…っ!!」 蒼真は自分の腹に刺さったナイフを抜き床に落とした。オレは脱力し床に膝をついた。 和「この前見た時、まさか…君があの蒼真だとは思わなかったよ…。イジメられっ子が随分とまぁ逞しくなったものだな」 蒼「…アンタは変わらないな…」 和「当たり前だろ?オレは欲しい子がいたら無理矢理にでも自分のモノにするのが主義だからな!」 蒼「…最っ低…」 もしかして…蒼真、怯えている…? …気のせいかな…? 和「人間って凄いよな。本人は記憶を削除したとしても身体は正直に覚えているんだ。そうでしょ?蒼真。君も身体は覚えているんでしょ?…だからオレと対峙して震えているんだろ?」 蒼「……これは…武者震いだし…」 和「アハハハッ、君は相変わらず素直じゃないなぁ」 まさか…蒼真も燐音と同じ…?
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