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燐「ぇーと…えっ?」
良く分からないから取り敢えず聞き返してみた。
直「自分がどれだけ愛しても、一途にただ一人を愛してる奴は自分に振り向いてくれない。確かにこれは心が折れるわ」
燐「…ふぇ?」
直「いや、なんでもない。なぁ、燐音…オレの長話聞いてくれるか?」
燐「その前に退いて貰えますか」
直「あぁ、すまない」
先生は素直に退いてくれた。
燐「で、何ですか?話って」
先生は少し遠くを見ながら語り始めた。
直「お前の事、信頼してるから言うけどさ、オレ本当は〝望月〟って苗字じゃないんだ…。望月は死んだ母さんの旧姓でオレは母さんの苗字を使わせて貰っている」
燐「えっ!」
直「オレの本名は天龍寺 直人」
燐「えっ、ちょ…まっ!天龍寺って世界でもトップクラスの企業じゃないですか!!しかも、天龍寺 直人は死んだってオレは聞いたんですけど!?」
直「実際に死んだのはオレの兄、天龍寺 彬彦だ…」
色々ツッコミたい所はあるんだけど、それが本当だとするとこの人はとんでもない大物じゃん!!
なんでこんなところにいんだよ!?
燐「何でそんな情報のミスが…」
直「大手企業の長男が死んだってなったら色々マズかったんじゃね?だから、変わりに次男が死んだ事にしたんだと思うよ。幸いなことに、オレと兄さんは年同じだったし似ていたから周りの人間も誤魔化せた」
そんなことって…。
燐「…………」
直「オレが中2の時だったかな。…兄さんが死んだのは…。兄さんはストレスを溜め込みやすい人間でさ、親父がプレッシャーをかけたせいで全てが嫌になったらしく、自殺したんだと思う…。その事がショックだったらしく、重病で入院していた母さんもそれを追うように死んだ」
燐「…………」
直「まぁ、あくまでこれはオレの個人的な考えだがな。兄さんが自殺して母さんが病死したのは事実だ」
そんなことって…実際にあるんだ…。
オレが初めて『なっちゃん』に出会った場所…病院の屋上だった…って昔、親父に聞いた気がする。
……そして、なっちゃんは首筋を切り自殺しかけたが助かってしまい、それで屋上から飛び降りようとした時にオレが現れたらしい。
その時、オレには幽霊が見えてた。
その幽霊を追いかけてたら屋上についたんだ…。
…今まで忘れてたけどね…。
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