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でも、なんでだろう…?
言葉に表すのは難しいのだが…素直に笑えない。
『どうした?燐音。そんな浮かない顔をして。何があったかは知らないが元気だせって!オレはお前の笑顔が好きなんだけど?』
オレはハッとなって正面を見た。
正面に座っているのはいつも通りにバカやってる八雲だ。
だけど…。
一瞬だけ海斗先生の声がした。
一瞬だけ海斗先生の幻を見た。
普段…食堂に来る時、当たり前のようにオレの正面に座る海斗先生。
当たり前になっていた日常。
その日常は大神のせいで壊された。
会いたい。逢いたいよ…海斗先生。
理事長には大神が待ち伏せしている可能性もあるから…って言われて、蒼真さんにもそんな風なことを言われたから海斗先生のお見舞に行けてない。
そして、海斗先生の意識も戻らない…。
海斗先生が居ないだけでオレは弱気になっちゃうし、いつもより元気が出ない。
やっぱり、オレ…海斗先生がいなきゃダメみたい。
望月先生のことは好き〝だった〟。
それは過去の話だ。
多分望月先生とオレの関係は友達以上恋人未満だ。
この事実と距離感は変わらない。
それに対し、オレはずっと海斗先生に惹かれていたんだろうな。
引きこもっていたオレの所に毎朝来て、勝手に昨日あった出来事を報告して…それを毎日続けても…そうやってオレを部屋から連れ出してくれたあの時から…。
あぁ。もう…オレには海斗先生しか居ないんだ。
イケメンでヤンチャでイタズラ大好きで、そのクセに真面目で優しくて強くて…生徒思いで…そんな先生のことがオレは大好きだ。
…オレにはもったいないくらいだが。
早く…目を覚まして欲しい。
だって、話したい事がいっぱいあるんだよ?
きっと、夢中で話しているオレを見て海斗先生は満足そうに笑っているんだろうけど…そんな日常が一刻でも早く戻ってほしい。
…やっぱり…傷跡とか…残っちゃうのかな。
オレは気にしないけど、海斗先生は絶対に気にするよなぁ。
オレを苦しめたってこともあるけど、オレの海斗先生に傷をつけた大神をオレは一生許さない。
好きな人を守れるくらい強い男にならなきゃ。
今日から筋トレ始めよう。
やれる所までやってみよう。
この学校でも強いと思われる理事長にお願いして鍛えて貰おうかな。
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