Memory.1 【別れの挨拶、笑顔の旅立ち】

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私が言った言葉も普通神様が言う言葉なんかじゃないと思うし。 こいつが言ったことは当たり前の事だからな、普通に考えて。 「あ、でも、僕と結婚してくれたら死んでもいいよ」 どうして結婚したら命をくれるんだよむしろ逆だろ、と言う言葉を必死に飲み込んで笑顔で「無理」と言った。 今まで無表情だったのに、いきなり笑顔になったのにびっくりしたのか暫く何も言ってこなかった。 まさかとは思うが、断られるなんてこいつ思っていなかったのだろうか。 「一目惚れって信じる?」 「...出会って何分とも経たない、しかも私は神と名乗っているのにそんな私相手によくそんなこと言えますね、どんな尻軽クズなんですか。外に墓穴でも掘って眠りますか?今なら出血大サービス掘ってあげますが」 彼の言葉に、息継ぎなしでつらつらと無表情になりながら外を指さした。 「穴掘るなら一緒に掘る?」 「何なんですか、貴方は一体」 本当に軽い舌打ちをしながら相手を見ると、さすがにもう無理と思ったのか相手は自分の前髪を掻き揚げて大笑いしていた。 「あっはははは!面白いね、一筋縄ではいかないところがまた...どうやら僕、貴女に惚れちゃったみたいです。結婚して下さいませんか?」 「無理、なんでも願い事叶えてやるから、私の休暇のために死んでくれ」 なんで休暇をつかみ取るがために今日こんな奴に絡まれて疲れているんだろうか。
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