Memory.1 【別れの挨拶、笑顔の旅立ち】

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だって下の奴とおさらばならこれ以上いい話はないし。 「取引成立だな、君の名前は...」 吸血鬼の話を遮って、聞かれる前に「神だ」と答えておいた。 別に取引相手に名乗る必要もないだろうし第一私だって相手の名前聞いてないし。 お互いの言っていることに矛盾が生じないようにして二人で計画を緻密に練り上げた。 まず最初は、あの私ではどうにもできない破壊神さんの所のチビをどうにかする事と、堂々と吸血鬼討伐に行くために一回村に帰る事に。 相手が作戦として爆弾発言をすることは数回あったが、それはあくまでも緊急の最終手段として私の中では絶対使わないようにすることにした。 話が大方纏まったところで、あのチビを連れ帰るために城の下まで降りた。 ...チビに勘違いさせるために、わざわざ二人で腕を組んで。 私と腕を組んで一緒に降りてきた吸血鬼にびっくりしたのか、チビはあからさまな敵意を吸血鬼に向けた。 「まさか術に掛けられて...!」 「そんなことないですよ。もう帰りましょう」 優しく優しく、なるべくこいつが私の名前をついうっかり言ってしまわないように細心の注意を図りながら言葉を選んで数時間前に私が括り付けた柱の紐を説いた。 このままこのチビが黙って村まで帰ってくれるといいけど。 「...こいつ、イリス様の彼氏ですか?」 開口一番に名前言ったよ、こいつ。なんて空気読まない奴なんだ。
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