Memory.1 【別れの挨拶、笑顔の旅立ち】

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神様は皆の願い事を叶えて人間を幸せにするけれど、そのたびに辛い思いをしているのはきっと神様なんじゃないかって私は思う。 私達神は、人間とはずっと一緒に居ることはできない。 命が永すぎる故に、苦しい思いをしているのはきっと私達なんじゃないかって。 前の村から追い出された私は、彼と出会って。 自分のしてきたこと全てを彼が正当化してくれているような気がして、彼の隣が心地よかったのは今でも覚えている。 人間で言う、恋愛感情に近い物を抱いていたのだと思う。 でも案の定、私は彼に裏切られてしまった。 それからと言うものの人間不信を拗らせてニートのようなゴミクズになり下がった訳だけれど。 「 使えない神様だね、でも願いを叶えてくれてありがとう 」 あの時の彼の笑顔と声は多分ずっと忘れないだろう。 人にお礼を言われる事がどれほど苦痛だったことか。 昔の私は本当に馬鹿だなって、自分で自分の事を嘲笑した。 こんなことになるって分かっていれば、今すぐにでも冥界にでも何にでも行ったのに。 永遠の命とか、不老不死とか、望んでないのにいつの間にかあって。 ふざけないでよって。どうせそんなに長く生きたって、辛い思いをするだけじゃないって。 何で私は、普通に人間のようには、なれなかったんでしょうかね。
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