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永遠の命なんてしょうもない物に人間は憧れて、研究して人生の大半を費やす人もいる事でしょう。
でも、何千年と生きた挙句の果ての最後には孤独しかなくて。
だから私は人間が羨ましい。人間は残りの時間を生きようと輝いて生きているように見えるのに、私の時間は止まったままだから。
だから私は人間と同じことがしたくなるのかもしれない。
神にはいらない食べ物を摂取して、人間と同じ気分になりたいだけ。
酷く滑稽だな。なんて自分でもそれは常々思っていること。
もういっそこのまま帰れなくなってしまえれば。
「...リス、...イリスッ!」
______なんて、させてくれませんか。私に付きまとう吸血鬼と我儘破壊神さんは。
私の名前を誰かが必死に何回も呼んでいるのが聞こえて、少しだけはにかんだ。
大丈夫、まだ私は必要とされている。
私がゆっくりを瞼を開けると、少々というか大分焦った吸血鬼の顔と、目から涙をとめどなく流している破壊神さんの姿が同時に目に映った。
「おかえりなさい」
心底安心したのだろう、吸血鬼は私の姿を見て安堵の表情を浮かべていた。
「イリスッ...!」
吸血鬼を押しのけるかのように勢いよく私に抱き着いてきて私の胸に顔を埋めたのは涙で頬が濡れている心配性な破壊神さん。
「アレス...」
「馬鹿。一人が怖いなら呼んでって昔約束したのに。何で。何で一人でまた頑張るの。嫌い。イリスなんて...!」
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