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「ところで。貴方の願い、叶えなくてよかったのですか?」
村を出ておよそ数分歩いたところで、ふと気になっていたことを口にしてみた。
「ああ、そんな話もあったね。そうだな、全部終わったら...そうしたら、その時にでも叶えてもらおうかな」
クスリ、と意味深に微笑んだ吸血鬼に私は疑問しか感じなかった。
いつもならすぐ願いを叶えてくれと言われるのが王道展開と言うか、それが当たり前なのに。
どこからどこまでも他の奴とは違う...言わば、変人と言う奴だろうか。
「結婚とか婚約とか、そこら辺の話はお断りしますからね」
「あれ、なんでも叶えてくれるんじゃないの?」
さりげなくそんな事をいいながら私の手に自分の手を絡めて来ようとしているので、相手の頬を軽く摘まんだ。
「私、神様ですから。自分の叶えたい願いしか叶えません基本」
そんな善意に溢れていて結婚いいですよなんて言った日には後悔するのは目に見えている。
「というか、吸血鬼ってどれくらいいるんですか」
吸血鬼退治に行くと言っても吸血鬼が何人いるとか、どれくらい狂暴とかあそんな話は私は全く知らない。
不本意だけど、一番精通しているこいつに聞く他ないんだよな。
彼は少しだけ考え込んではいたものの、すぐに私の方を見て簡単であろう説明を始めてくれた。
...こいつの説明は、あんまりというか全く当てにはしていないけれど。
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