Memory.1 【別れの挨拶、笑顔の旅立ち】

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「大体吸血鬼っていうのは、人間に交じって適応している奴もいたり、僕みたいに城に籠って君みたいな美人を待っている奴もいるかな。」 「うん、全くわかりませんね。真剣に説明してください」 吸血鬼の頬を少しだけ強めに引っ張った。 「痛い痛い!...吸血鬼で害をなそうとしている奴の噂を少しだけ聞いたことがあるんだけど、大体半径100m以内だと15人くらいいると思っていいと思うよ」 その言葉の後にすかさず 「それ以外は無害ですし雑魚ですから主力をサッと飛んで倒して有休満喫しましょうか」 などと言って不敵に笑った彼を見て、彼の頬を抓っている手を放して服を掴みなおした。 「折角だから、外の世界をいろいろ見ていきたいんです。外に詳しいなら、案内してください」 身勝手なお願いなのは自分では百も承知なんですが、そんな私を見て彼は腹を抱えて笑った。 「プロポーズは断るのに新婚旅行は行きたい、なんて色々飛びすぎてるよ」 目尻に涙を浮かべる程面白かったのでしょうか。 大きな声を上げながら笑っている相手の頭を殴ってやろうかと思い、手を伸ばしたら今更ながら物凄い身長差を感じてしまった。 きっとここにスリッパがあったら身長が足りて思いっきり彼の頭を殴ってそうな気がする。 「新婚旅行じゃなくて私の有休をバカンスするはずの予定だったんですけど、勝手に脳内で書きかえないで下さい。不愉快です」
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