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背負い投げした人物のがたいがよく、太ってたのだろうか。よく見ていなかった。
細身の私にこんな大男がすんなりと投げ捨てられたらどれほど悔しいだろうか。
当の横たわっている彼のプライドは相当ズタズタにされているだろう。
その前にそこの吸血鬼は私の心配より地面にほぼほぼ減り込んでしまっているここの人の心配をしてあげるのが筋だと思うのですが...。
「てこの原理って言うやつですね、昔の人間はこれで何でも運んだそうですよ」
そう淡々と言う私に迫力負けしてしまったのか、背負い投げされた...吸血鬼の下っ端のような人は黙りこんでしまった。
「さて、ここで本題ですが」
私はそう言って倒れている人の腹に足を乗せてにこやかに微笑んだ。
「貴方たちの御主人は、一体何階にいるのでしょう?」
こんな朝にわざわざこんな所に来てまで吸血鬼退治をしに来ているんです。
なるべく早く片付けて布団に入って眠りたい。何回でも言いますが私は朝は弱いんです。
視界が霞むし、やたらイラついて機嫌は悪くなるし、早起きは三文の徳なんてそんな訳がないし寧ろ大損失ですね。
「お前、何をっ...」
一回言って分からないんですかね、この蝙蝠風情が。と言いますか、一応神様のこの私に向かってお前だなんて失礼なやつなんでしょう。
先程よりさらに不機嫌にさせられてしまった私は足を乗せている吸血鬼の腹部にヒールを減り込ませた。
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