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「誰が何と言おうと私は神ですから。それぐらいの怠慢くらい許していただかないと」
これが権限の乱用というものですかね。
そう言った私を見て彼はまた笑いながらさっき入った隣の部屋の扉を開けてくれた。
彼のどこのツボにはまったのは知りませんがこうずっと笑われっぱなしも心なしか侮辱されているような気分ですね。不愉快です。
彼の後に続いて部屋に入ろうとすると、笑っていた彼が急に元に戻り、手で「入ってはいけない」と制された。
「どうかしたんですか」
ひょこっと彼の脇の隙間から部屋を覗くと同時にツンとした嗅ぎ慣れている独特の血の匂いがした。
「駄目だよ、入ったら」
「この目の前の床の文字は魔法陣ですか」
えらく悪趣味な吸血鬼がここには住んでいるみたいですね。どこまでも鬱陶しい種族なんでしょうか。
彼の忠告も無視してわざと魔法陣を踏んで一歩部屋に入った。
「あっ、駄目だってば!これは神殺しのっ...!」
「神殺し?」
私が彼の言葉を復唱した直後に、丁度私はもう魔法陣の中心部にいて。
辺りに風が吹いたと思えば紫の光が六か所の点から立ち上り、私を閉じ込めるように発動してしまいました。
天井にも描かれた魔法陣と対になっていたらしく、点と点は結ばれてやがて線になり、その線は私を閉じ込めてしまいました。
「あれまー。これはこれは...。」
「だから言ったのに...!馬鹿ッ!」
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