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「おっと!」
「わぁ?」
しかし、襲ってきた衝撃は思っていたより随分と軽いもので。
聞こえてきた声と、背中にある温もりに、顔を背後に向けた。
そこにあったのは、完璧くんの顔。
「大丈夫?」
「はい」
「そっか。なら、良かった」
完璧くんの背後にキラキラが見えます。
というか、いつの間にここまで来ていたんでしょうか。驚きながらも「ありがとうございます」と、お礼だけはしっかりと言っておいた。
「いいよ。気にしないで?」
完璧くんは優しい声でそう言うと、私をこれまた優しく立たせた。
「ごめん! 悪かった!」
私にぶつかってきた男子が勢いよく謝ってきたので「大丈夫です」それだけ言って、廊下に出る。
尚も男子が全力で謝ってくるのを受け流しながら、最後に完璧くんに会釈をしておいた。
完璧くんは、それに爽やかな笑顔を浮かべる。わぁ、イケメンですね。
ふと視線を感じて、教室の中を見る。物凄く怖い顔をした女の子と目が合って、心底困った。
あの子は確か、派手で有名なグループのリーダー格だったはず。なるほど。完璧くんに気があるんですね。
しかし、勘違いは止めて頂きたいです。私は貴方と違って、完璧くんの事を何とも想ってませんので。
だってやっぱり、取っ付きにくいです。
どうしようも無いので、見なかった事にしておいた。
******
お昼ご飯終わりで、眠すぎる5限目の社会という魔物との戦いに打ち勝ち、6限目に突入した。
総合の時間なので、今日は来る6月の遠足の話をするらしいです。学級委員の男女が教卓に立ち、班決めやら何やら、今日の予定を説明し出す。
勿論、私のクラスの学級委員は完璧くんです。それと派手グループのリーダー格の子。
私は、そんな役職やりたく無さ過ぎるので、学級委員を決める時に、気配を消す事に力を注いでいました。
しかし、完璧くんは皆に推薦されまくり、快諾していたのだから、流石としか言いようがありません。
それと、リーダー格の子。学級委員なんて、やりそうに無い感じなのに。恋する乙女とは凄いのですね。
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