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「やすよし~、ご飯よー、早く降りてきて!」
「アイコネエ、話しかけないでよ!今集中してんだから…。」
「あんた、作品づくりに夢中になるのはいいけど、ちゃんと食べて、寝て、健康でいないといい彫刻はできないわよ。
ただでさえひ弱な身体で、ろくに削れもしないのに。」
「夢を諦めたアイコネエには言われたかないよ。
俺は父さんのような彫刻家になるんだ。
父さんは、細い腕でも立派な彫刻家だったじゃないか。」
(康喜、あのときの父さんは…もう…)
「やすよし!今の時代はそんなのんきなことを言ってられる世の中じゃないのよ。
自分の腕っぷしひとつで何でもかんでもつくっていかなきゃいけないの!
料理だってほら、いつまでも私にばかりつくらせておかないで、自分でもいい加減覚えてみたらどう?」
「料理なんて女のやるものだろ?それこそ軟弱者のやることだ。」
「あんたの考え方、古すぎるわ。とりあえず、ご飯つくったから後で食べに来てよ!」
(まるであの父のようだ…。)
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