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ドアの下の隙間からカメラを向けようとした刹那、誰かが僕の肩を掴んだ。
心臓を直接掴まれたような感覚に、僕の身体は動きを失った。
思考が鈍っているのか、あるいは、鋭敏になっているのか、取るべき行動が分からない。
しかし、ひとつだけ明瞭なことがあった。
個室の中を撮影しようとしていたところを見られてしまった。
ドアの向こうから、トイレットペーパーを巻き取る音が聞こえる。
肩を掴んだ者はそれを聞くと、僕の右腕を掴み直し、トイレから引きずり出した。
途中、朧気な目でその者の顔を見た。
高井だった。
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