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デーゼナーの歴史はさほど古くはない。
というより、まだ始まって三代ほどの貿易商の家であり、元は布地を扱う小さな店だった。事業を一気に拡大させたのは二代前の当主であったが、事業に成功し、ある程度の富を得たデーゼナー家は、何よりも一家の教育に心血を注ぎ、そして芸術への造詣を深めることに熱心になっていった。
本来なら成り上がりといっていいこの家は、成り上がりが陥りがちなうわべの豊かさに囚われず、教養をもち洗練された家風をわずかな年数のうちに作り上げたのである。
そして精神と教養の成熟を切望し続けたこの家は、1811年の春に一介の商店主の代から数えて四代目にその象徴ともいうべき双子を産み落とした。
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