辛い日々の始まり

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漸く光希が満足したのか 彼らにバイバイと 手を振り俺のところに近づいてきた 「お待たせ 帰ろっか」 俺はコクンと頷き 光希に従い 光希信者を置いて教室を出た 「…………………」 相変わらず彼らに睨まれるが だからといって 向こうが何かしてくるわけじゃない 一応 俺は光希の双子のお兄さんに なるわけだから 俺に何かあればすぐに光希にバレるとでも 思ってんだろうな 実際は 俺に何かあったとしても 光希は気づかないだろうし 気づいたとしても何とも思わないのに 「………………………ぁ………」 暫く廊下を歩いていると 前方に今枝さんが 走ってくるのが見えた アレッ?と思ってその様子を眺めていると 真っ直ぐに俺の方を見て 明らかに此方に向かって走っている 俺はまさかと思いつつも 廊下の端に身を寄せて 今枝さんが通り過ぎるのを待とうとした すると今度は俺の前まで来て足を止めた 戸惑う俺の肩を今枝さんはガッと掴み 「はぁ、違う違う!お前に用があるんだ! はぁ、はぁ、よかった……間に合って………」 「…………………」 「驚かせてごめんな………… ずっと話しかけたかったんだが なかなか都合があわなくて………… ……………ちょっといいか?」 「…………………」 まさか今枝さんの方から 話しかけてくるとは思わなかった 俺に用事って……もしかして 昨日のお礼ってのを 今日するつもりなのだろうか 頭がパニックになって あれこれ考える事ができない 今枝さんに話しかけられて 嬉しくてたまらないけど 何て言えばいいのか分からない だって………今は光希がいる せめて2人きりだったら……… 結局 俺の出来る事と言えば いつものように下を向いて俯くしかない 今枝さんは そんな俺の様子にも 気にする事なく 「もう帰ろうとしている所悪いんだけど 少しでいいんだ………駄目か?」 と聞いてきた 話したいのは山々だけど 兄さんに帰りが遅いなんてバレたら殺される……… どうしよう どうしよう と俺が考えあぐねていると 「あれぇ? もしかして お2人は知り合いなんですか?」 光希が愛想のいい笑顔を振り撒き 今枝さんに話しかけた 「……………………」 今枝さんには止めて その笑顔を見せて取り入ろうとしないで その人だけは
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