辛い日々の始まり

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「え……………君は?彼の友達?」 今枝さんは 今になって 光希の存在に気がついたようで 急に話しかけられて困惑している様子だった 光希はプライドが高いから それが気に入らなかったらしく 不機嫌そうに口を尖らせ 今枝さんの腕にしがみついた 「そうですよぉ―― 伊月にとって僕は 唯一の親友なんですよぉ―― 始めましてぇ――、 僕 今枝さんの実習している クラスの大石 光希と言いまぁす 今枝さん格好いいから 話しかけたかったんですぅ」 「あ――………そうだったのか……… …………じゃあ 悪いんだけど 少しの間 彼を借りていいかな?」 「えぇ……………」 「……………………」 彼がはっきりそう言ってくれた事が 俺は嬉しかった 光希が側にいたんじゃ せっかく今枝さんに話しかけられたのに じっくり話せない 光希は今枝さんの反応が面白く無かったのか 唇を噛み締めながら 拗ねた素振りを見せ 「えぇ――――、 何で僕がいたんじゃ駄目なんですかぁ? 2人きりで話したいって事ですかぁ? いいじゃないですかぁ 別に僕の事は石だとでも思ってくれれば いいですから 僕も一緒に行きたいですよぉ」 「え……………うぅ――ん……………」 「…………………………」 ……………何で光希がこんなに食い下がるか 理由は明白だ でも それは光希にとって憂さ晴らしのような ものだから間違っても他人に本当の事など 言わないだろう だから いつもあの手を使うんだろう 「伊月は俺の双子のお兄ちゃん なんですよぉ――― 常に2人一緒にいて 帰るのも いつも一緒になんですから 僕 1人で家に帰ったら 電車の中で痴漢にあったりして 大変なんですよぉ?」
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