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………………また そんな猫撫で声で……
思っちゃいけないと思いつつも
光希の猫被りには嫌になってくる
誰にでも愛想を振りまいて
自分が好かれて当然だと思ってるんだから
でも今枝さんが光希を名前で呼ぶのは嫌だ
呼んだ瞬間 嫌いになりそうなくらい嫌だ
想像しただけで嫌で嫌でしょうがない
光希と俺を一緒にしないで
俺だけだという特別な何かが欲しい
俺だけを…………
「---------------------------------」
そこまで考えて 自分が怖くなってきた
…………俺は 一体何を望んでいるのだろう
今枝さんに何を望んでいるのだろう
何でこんなにも嫌で嫌で仕方無いんだろう
何で自分が特別だなんて思うんだろう
そんな事
これまで一度も思った事が無かったのに
俺はどう足掻いても彼の特別にはならないし
それ以前に 知り合い以上の何者でもない
なのに どうしようもなく
我が儘ばかりを考えてしまう
何で…………
今まで何をされても平気だったはずなのに
ただ 名前を呼ぶという行為だけが
何故こんなにも嫌なんだろう
何で こんなに贅沢になっているんだろう
「ん?いや、
君は今日知り合ったばかりだし
伊月には世話になったしね
俺が勝手にそう呼んでるだけだから
悪いな」
「ッ!………………………」
…………………ヤバイ 泣きそうだ
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