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「…………………そうですか
わかりました………じゃあ伊月を借ります」
「あぁ」
「……………………」
……………………………嬉しい
俺は心が浮上していくのがわかった
始めて自分が選ばれた
光希じゃなく俺を選んでくれた
こんな感覚知らない
胸が痛いくらい苦しい
身体中が悲鳴をあげそうなくらい息苦しい
喜びの感情なのに
どうしてこんなに苦しいんだろう
俺は 自分では抑えきれないほど浮かれた
馬鹿みたいに嬉しくて仕方なかった
光希が俺の手を引きながら
今枝さんから死角になる場所まで連れてきた
今枝さんが完全に視界から消えた瞬間
「----------------ッ!」
胸ぐらを掴まれ壁に背中を押し付けられた
「…………………………調子乗んなよ
浮かれた顔しやがって
自分が特別だとでも思ってるのか?」
「………………………」
「まぁ、安心しろよ
家族の方にはお前が何処ぞに
ほっつき歩いたせいで痴漢されたと
言っといてやるから
帰ってきてからが楽しみだな?」
「………………………」
「……………………自覚無いみたいだから
教えてやるよ………
お前に好意を抱く人間なんか1人もいないんだよ
悠真兄さんに構われてるからって
少しは好意を持たれてると思ったら大間違いだ
悠真兄さんはお前を憎んでる
家族も親戚も学校の連中も通りすがりの人間も
全員だ!
お前なんか 誰からも相手にされずに
誰からも気にもかけて貰えずに
邪魔なゴミのまま
ひっそりと1人で死んでいくんだ!」
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