辛い日々の始まり

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「はぁぁ、笑った笑った 大丈夫か?お前いちいち大袈裟に 反応すんじゃねぇよ うかつに触る事も出来ねぇじゃねぇか」 「……………ごめんなさい」 「いや、謝って欲しいんじゃなくて もうそろそろ俺に慣れてもいい頃だろ? なんだっていつもそうやって オドオド キョロキョロしてるんだ? そんな挙動不審にしなくても 今は俺と2人しかいないんだから 平気だろ?」 「………………………」 「ん?ほら、さっきみたいに はっきり言ってみろよ お前全然普通に喋れたじゃん 俺のデコにも触ったし 2人で笑いあっただろ 何をそんなに硬くなってんのか 知んねぇけど もう少し肩の力を抜いて リラックスしてみろ」 俺だって出来たら そうしたいのは山々だけど せっかく さっき緊張感がとれたと思ったのに また元の状態に戻ってしまった 「あ、ほら またそうやって下を向く 痣が出来てるのが恥ずかしいのか?」 「……………………………そうじゃないです」 「じゃあ 顔よく見せて …………………どうしたんだ? よく見たらボコボコだな ちゃんと手当てしないと悪化するぞ」 「……………………大丈夫です 放っとけば治ります」 「そういう問題じゃないだろ 誰にヤられたのか知らないが 喧嘩なんて程々にしろよ ………………………これ 本当に喧嘩か?」 突然 今枝さんが 真剣な顔をしたと思ったら 俺の痣に手を添えて訊ねてきた 思わず肩を震わせて 瞬発的に首を大きく横に振り否定した 今枝さんは俺の顔を覗きこむように 眺めてきて俺は内心ヒヤヒヤしていた …………あの事がバレるわけにはいかない 誰にも知られるわけにはいかない 何より この人には嫌われたくない
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