辛い日々の始まり

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「………………伊月?どうかしたのか? 何だか顔色悪いぞ?」 彼が俺の様子が 突然変わった事に気づいたようで 心配そうに顔を覗きこんできた 俺は顔を見られたくなくて横に向き 「………………………………すみません これ以上遅くなると家族が心配するので もう帰っていいですか…………」 「ん?あぁ、そうか……………… この後 食事でもと思っていたんだが 残念だな」 「お礼なんて もう結構です 別に大した事してないんで」 「……………………伊月?」 「すみませんが早く帰りたいんで 下ろして貰っていいですか」 「いや、俺が送るよ 家どの辺だ?」 「いいです いいです………… 歩いてれば 家に着くんで もう下ろしてください」 「だが……」 「下ろしてください!!」 「…………………………」 …………………………………………………惨めだ 元々 虫ケラみたいな存在だったけど 以前の俺だったらこんな事は思わなかった 誰も彼も俺の事など好く処か 目障りで汚い物を見るようで 相手にもしてなかったから 彼だけは違うと心の中でうぬぼれてた 今枝さんは俺の態度に 困惑している様子だった そりゃそうだよな いきなり怒り出して あの人にとっては全く身に覚えが無いだろう 俺が勝手に怒り出しただけなんだから ……………………もう話しかけて来ないだろうな たとえ話しかけてきたとしても 先ほどのような事を彼が言い出したら 更に傷は深まるばかりだ もう2度と幸せな気分にはならない こんなに打ちのめされるんだったら 何も気づかない頃のままがよかった あんな温もり知らなければよかった 一緒にいたいなんて思わなければよかった 「…………………………………ぅぅぅぅ………」 もう心は傷だらけだ
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