辛い日々の始まり

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「………………………」 トボトボと歩いていると 次第にポツポツと降り出した雨が いつしか本降りへと変わっていった 濡れ鼠とはこの事か 俺にはお似合いだ 時計を持ってないから 今 何時か分からないが 間違いなくこんな時間に家に帰ったら 家族全員に袋叩きにされるだろうな そういえば光希が痴漢されただの言うとか 言ってたから 帰りが遅かろうと何だろうと 結局は袋叩きにされるのか…………… 他人事のようにそんな事を考え ふらふらと あてもなくさ迷い歩く 家に帰るという選択肢は今は選びたくない ふと ひたりと立ち止まった 夏とはいえ しとどに降り続ける雨は冷たく 身体から どんどんと体温が奪われていく …………………………疲れた もう何もかもどうでもいい どうせ俺なんかこの世に存在していても 意味が無いし 消えた所で誰も何も思わないんだから それならもういっそ此処で 何もかも終わらせてしまった方が楽だ 何度となく思っては それを許されず ずるずると生き長らえてきたけど 俺の心の悲鳴がもう限界だと叫んでいる ……………………………………………………死のうか …………俺が死んだらハムはどうなるだろう ハムも殺されてしまうのだろうか ……………でもそれもいいかもしれない そしたらあの世でハムに会えるかもしれない このまま一生あの地獄の家で 暮らすんだったら もう俺には何の希望も無い 全ての事がどうでもよくなってきた …………もういい 俺は十分苦しんだ もういいんじゃないか……? 段々足取りが重くなっていき ついに足が止まった 「……………………………」 眼下には大型の駅があり たくさんの電車が走っている いっそ ここから飛び降りようか
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